市場介入をする3つの方法は「単独」「協調」「委託」とありましたが、実際に実行するためには、通貨を売買しなければいけません。
日本銀行が行う市場介入のやり方は、2通りのルートがあります。

  • インターバンク市場の有力銀行と直取引
  • インターバンク市場のブローカー経由取引

直取引によるカバー取引

日本銀行がインターバンク市場で直取引を行う場合、日銀が値を求めて、それに対して有力銀行が建値を提示することになります。
その建値に応じると、売買が成立することになります。

日本は輸入も凄いですが、日本産業を支える自動車産業など輸出に頼る面もあります。
ですので、極度の円高傾向が進むと、輸出産業に悪影響が大きく、日本経済に大ダメージを与えてしまう事になるので、円安に進める「円売りドル買い」の市場介入を行うことが多いです。

例えば、日本銀行が10億ドルの買いを行いたいと、有力銀行のA銀行からドルを買ったとします。
これで、ドルは買われたので「円売りドル買い」の市場介入は出来ましたが、A銀行はこれでは終わりません。

A銀行としては、1億ドルを売った訳ですので、ショートポジションを持っていることになります。
ドル買いの介入を行った訳ですから、円の価値は下がり米ドル円の相場は上昇(円安)していきます。
A銀行のショートポジションは、相場が上昇していくと損失になってしまうことになり、銀行として利益を出さなければいけないので、その損失を埋める「カバー取引」を行います。

1億ドルの買いを行っても良いですが、銀行として利益を増やすことが重要視されますので、1億ドル以上の買いを行うと、円安に進むことで多くの利益を生むことも可能になります。
カバー先の数は複数に分けることも出来ます。

カバー取引により円安加速

A銀行のカバー先となった複数の金融機関も、ショートポジションを持つことになります。
ショートポジションを持ったカバー先も、さらにカバー取引を行い、ドル買いを行います。
A銀行のカバー取引が日銀による市場介入と分かれば、さらに上乗せのドル買いを進めることになります。

この動きは連鎖を生み、市場に参加している投資家など、介入の情報が流れることで、ドル買いがさらに加速する傾向になります。
このときのトレンドはドル買い雰囲気になるので、それに逆行する売買は一般的に危険になります。

円安への相場上昇は、市場介入の規模など様々な要因で変わってきます。
元々、ドル売りの円高傾向がかなり強い場面では、市場介入の効果が薄い場合もあり、カバー取引の利益は少ない場合もあります。

カバー取引を必要としないブローカー取引

日銀が直接銀行と取引を行わない方法として、外国為替ブローカーを利用して、市場介入する場合もあります。
ブローカーと聞くと怪しい感じを持ちますが、売り手と買い手を仲介してくれるしっかりした外為ブローカーです。

ブローカー自体はポジションを持つことはなく、売りたい銀行側のレートを中央銀行側に提示して取引を行うだけですので、一般的な銀行はカバー取引を行う必要はないわけです。

直接銀行と取り引きした方が良いような感じもしますが、外為ブローカーを仲介することで、適切なレートや条件が合う金融機関を探し出してくれるので、手間が省きやすく、スムーズに進めることが出来ます。

さらに、ブローカーに日銀からの莫大な介入があると、市場には介入があったとすぐに情報が流れやすい面もあり、市場介入規模より効果が出る場合もあります。
直取引とブローカー取引のどちらが市場介入の効果があるかは計れませんが、市場介入の際にはどちらか一方のルートを使ったり、両方のルートを使う場合など、様々な対応になります。